政府のDX推進計画における方針や指標とDX化の現状

政府が企業や自治体のDX推進のために実施する様々な施策について解説

政府のDX推進計画における方針や指標とDX化の現状

日本の政府は現在、日本の世界的な競争力の確保のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する取り組みを進めています。

この記事では政府が、日本の企業や自治体のDX推進に向けどういった取り組みを行っているか知りたい方のために、政府によるDX推進施策を紹介します。

目次

政府が定めるDXの定義とは?

政府が定めるDXの定義とは?

そもそも、日本政府はDXの定義をどのように定めているのでしょうか?

ここでは、DXの定義や日本企業にとってDXが必要な理由を解説していきます。

DXの概要と定義

DXとはトランスフォーメーションの略で、デジタルを用いた変革を指します。

つまり、デジタルを活用することで企業のビジネスモデルや製品を変革し、市場における競争力を確保し売り上げアップすることを指します。

政府がDXをどのように定義しているのかは、経済産業省が2020年11月に策定した「デジタルガバナンス・コード2.0」を見ると分かります。

本文書の中で、DXは以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データ とデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

参照:デジタルガバナンス・コード2.0

ここに書かれている内容で大切なのは、製品やサービスビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確保するのがDXだということです。

単に、業務の一部にAIやITといったデジタル技術を導入しただけでは、政府が定義するDXには該当しないので注意しましょう。

日本の自治体や企業にとってDX化が必要な理由とは?

日本の自治体や企業にとってDX化が必要なのは、海外に対して日本のDX化が遅れており、今のままでは競争力低下により日本が大きな経済的損失を被るからです。

政府が2018年に発表したDXレポートの中で、DX化が進まないまま2025年を迎えた場合、2025年には経済的損失が年間12兆円に達するという試算が発表されています。

この2025年に発生すると予想される莫大な経済損失は、政府によって「2025年の崖」と名付けられており、これにより国家単位でのDX推進の必要性が認知されるようになりました。

したがって日本では、企業・自治体ともに迅速なDX推進が必要と言われているのです。

参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

政府によるDX促進の3つの取り組み

政府によるDX促進の3つの取り組み

日本政府は日本全体のDX推進のために、これまでに様々な取り組みを行ってきました。

ここでは中でも主要な3つの取り組みを紹介します。

デジタル庁新設でDXの加速を目指す

デジタル庁は2021年9月に新しく創られた組織です。デジタル社会の司令塔としてDX推進を大胆に行い、官民のインフラを5年間で一気に作り上げることを目指し設立されました。

全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、国の情報システムの一元化やマイナンバーカードの普及、国や地方自治体のデジタル化などを行っています。

「デジタル・ガバメント実行計画」で行政改革を始める

デジタル・ガバメント実行計画とは、2020年12月25日に閣議決定された、デジタル社会の実現に向けた基本方針をまとめたものです。

以下をスローガンとしており、全国民がデジタルのメリット化を享受できる社会の実現を目指しています。

「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」

具体的には、デジタル・ガバメント実行計画の基本方針は以下の3つです。

  • デジタルファースト: 個々の手続やサービスが完全にデジタルのみで完結する
  • ワンスオンリー: 情報の提出は一度のみで完結し、再提出が不要となる
  • コネクテッド・ワンストップ: 民間サービスを含め、複数の手続きやサービスをワンストップで実現する

これらの施策が順調にいけば、アナログ主体の行政手続きが、短期間でデジタル化されることになるでしょう。

参照:デジタル・ガバメント実行計画

「自治体DX推進計画」によりGov-Cloud普及を目指す

自治体DX推進計画は総務省を中心となり行われる、地方自治体におけるDX推進を促進する取り組みです。

自治体DX推進計画の中心となるのが、官公庁、地方自治体、独立行政法人が共同で利用できるプラットフォーム「Gov-Cloud(ガバメントクラウド)」です。

Gov-Cloudを活用することで、地方自治体は住基アプリケーションや地方税アプリケーションなどを、クラウド環境で利用することが可能です。

これにより、各自治体は自前のサーバーやハードウェアを用意する必要がなくなり、オンライン化による業務の効率化を目指せます。

また、データ移行が簡潔になったり、セキュリティ対策をしやすくなるのもGov-Cloudのメリットと言えます。

参照:自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第2.0版】

経済産業省によるDX推進施策の方針と指標

経済産業省によるDX推進施策の方針と指標

経済産業省は産業界のDX推進に向けて、様々な施策を行っています。

その中でもあらゆる事業者に向けて行われている3つの施策を紹介します。

デジタルガバナンス・コード

デジタルガバナンス・コードとは、2020年11月に経済産業省が策定した、DX推進に向けて企業や経営者が実施すべき事項を取りまとめた文書です。

企業をDX化させる際に必要な考え方や戦略、組織作り、ガバナンスシステム等について詳しく書かれています。

DX推進に必要な要素がまとまっているので、デジタル技術によってビジネスモデルを変革する際には必読と言えるでしょう。

参照:デジタルガバナンス・コード

DX認定制度

「DX認定制度」とは、法律上の根拠となる「情報処理の促進に関する法律」に基づき、企業が「デジタルガバナンス・コード」の基本的な要件を満たしていることを認定する制度です。

DX推進の準備が整っている企業が政府から認定を受けられるもので、取得すると以下のようなメリットがあります。

  • 経済産業省の認定業者であることを発信できる
  • 経済産業省作成のロゴマークをHPや名刺に使用できる
  • 公的な支援措置を受けられる

これらを通して、DXに積極的に取り組んでいる企業として、企業価値、ブランドイメージを向上させられる可能性があるでしょう。

参照:DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)(METI/経済産業省)

DX推進指標

DX推進指標は経営者や社内の関係者が、DXの推進に関する現状や課題について共通の認識を持ち、具体的な行動につなげる機会を提供するものです。

活用することで、以下のメリットを享受できます。

  1. 認識共有:自社はDX推進できているのか否かについて、社員間で認識を共有できる。
  2. アクションの議論:DXに向けて何をすればいいか、議論を行い実際のアクションにつなげられる。
  3. 進捗の把握:昨年と比較してDXが進んだかどうかの進捗確認がきできる。

これらについて確認できるので、DX推進指標は、DX化達成に向けて歩みを進めるのに非常に役立つでしょう。

DX推進指標は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のWEBサイトで自己診断フォーマットをダウンロードすることで活用できます。

参照:DX推進指標のご案内 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

【2023年】政府による実際のDX推進施策と現状

【2023年】政府による実際のDX推進施策と現状

2023年現在、政府が具体的に行っているDX推進支援はどのような内容なのでしょうか?

ここからは、自治体向け・一般企業向けそれぞれの政府のDX支援策を紹介します。

自治体DX

自治体DXの推進に向け、政府が行っている施策と現状を紹介します。

推進施策

政府では自治体DX推進のために、以下のような支援を行っています。

政府の支援内容 詳細
デジタル人材の確保 市町村における外部人材の募集情報を総務省ウェブサイトで公表し、協力企業に展開している。
自治体DX推進手順の
策定・公表
各自治体が着実に DX に取り組めるよう、取組を進めるに当たって想定される一連の手順等を示している。
住民記録システムの
改修に要する経費補助
オンラインによる転出届・転入予約を実現できるよう、システム導入および改修費用を補助している。
AI 導入ガイドブック・RPA
導入ガイドブックの共有
自治体のAIやRPA導入をサポートするために、ガイドブックを自治体に共有している。
セキュリティ対策の補助 新たなセキュリティ対策の在り方について検討し、自治体に方針を示している。

このように様々な領域において、自治体DX推進成功確率を高めるために政府が支援しています。

参照:自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画 【第2.0版】

現状

2022年に一般社団法人日本経営協会が行った調査「自治体DX浸透度調査」によると、以下のように制作方針にDX化やデジタル化が含まれる自治体の割合は高く、多くの自治体がDX予算を設置していることが分かります。

政策方針に「DX/デジタル化」が含まれている割合 DX予算を設置している
県庁 9割半ば 8割
市区町村 7割 7割

参照:自治体DX浸透度調査2022 調査結果報告書(2023年4月) | NOMA

県庁と市町村でDX推進への意欲に差は見られるものの、全体としてはDX推進の意欲が高いことが調査結果から読み取れます。

ただ、DX推進できるDX人材は全国的に不足しているので、なかなか自治体DXが進まないのが現状のようです。

企業のDX

続いて、企業の推進のために、政府が行っている施策と現状を紹介します。

推進施策

政府が企業のDX推進のために行っている施策の一例は以下の通りです。

デジタルガバナンス・コード 中堅・中小企業のスムーズなDX推進を後押しすべく2022年4月に政府がまとめた手引き
DX認定制度 DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度。認定されると自社のアピールや公的な支援措置を受けられる。
DX推進指標 自社のDX推進度合いを客観的に測定できるよう、経済産業省が用意したテスト。オンラインで文書をダウンロードすれば活用できる。
デジタル人材育成 デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場として、ポータルサイト「マナビDX」を開設。
デジタルトランス
フォーメーション銘柄(DX銘柄)
企業価値の向上や競争力の強化に向け、積極的にITを活用する上場企業を選定している。

参照:DXレポート2(中間取りまとめ)

このように日本政府は、複数の施策を通して企業がDX推進しやすいように支援を行っています。

現状

政府は日本企業全体のDX推進を望んでいますが、経済産業省が令和2年に発表した「DXレポート2」※1によると、2020年時点でDX推進を進めている企業はわずか5%程度という調査結果が出ています。

9割以上の企業はデジタル化に全く着手できていないか、一部部門にデジタルを導入し始めたという段階で、まだまだ日本企業のDX化は進んでいないのが現状です。

ただ、中にはDX推進によって革新的技術を生み出したり、ビジネスフローを変化させている企業も登場し始めています。

一例として、DX推進に積極的に取り組む上場企業3社のDX化の取り組み内容を紹介します。

中外製薬株式会社 新薬を生み出すプロセスをAI活用によって加速化させる未来を目指している。
株式会社小松製作所 デジタル技術の活用により、工事や建築の施工プロセスの安全性・生産性を向上させる。
トラスコ中山株式会社 デジタルによって商品流通のサプライチェーン全体を効率化。自社のみではなく他社にも好影響を与えている。

参照:デジタル トランスフォーメーション 銘柄 ─DX銘柄 ─ 2023

このように様々な業種でDX推進を進める企業が存在するものの、まだその割合は小さいと言わざるを得ません。

今後も、日本企業にとってDX推進は喫緊の課題であると言えるでしょう。

まとめ

まとめ

今回は日本政府がDX推進に向けて、行っている施策や取組について紹介しました。

政府は自治体、一般企業を問わず様々な施策を通してDX推進に取り組んでいます。

現在ほかの先進国と比較して、日本のDX推進は後れを取っている状況です。

しかし、政府による施策が成功し、日本全体でデジタルによる技術革新が起これば、世界における日本の競争力が向上するかもしれません。

今後も政府は日本のDX推進のために様々な施策を実施するはずなので、日本がどう変化するかに注目していきましょう。

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