【企業向け】DX推進のためのチーム構成や役割を解説

「DX推進」とは何か、成功させる為の社内DX推進チーム体制について

【企業向け】DX推進のためのチーム構成や役割を解説

昨今、良く耳にするようになった「DX推進」。

企業方針の一つとして、DX推進に取り組んでいる企業も多く見受けられます。

「やらなければいけないのは何となく理解しているけれど、どう進めていけば良いのか分からない」「どこをゴールとして進めていけば良いのか不明瞭」など、いろんな課題が出てきている企業も少なくありません。

そこで、本記事では「DX推進」とは何か、また、成功させる為の企業内でのDX推進チーム体制について解説いたします。

目次

将来を担う日本企業には「DX化」が必要

将来を担う日本企業には「DX化」が必要

DXとは?

はじめに、「DX」の定義についておさらいします。

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。

現在、国をあげて推進しているプロジェクトで、経済産業省が「マナビDX」という、DXに関する講座を案内するサイトも開設し取り組んでいます。

その経済産業省では、DXを以下の様に定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

出典:デジタルガバナンス・コード2.0

つまり、ビジネス環境の激しい変化に対応するため、デジタル技術を活用することで組織変革を行い、日本だけではなく世界でも競争に負けない環境を構築することを指します。

またDXを推進することにより、日本の社会が抱える問題の解決策になるとも言われています。

なぜ、DXはこんなに注目されている?

国をあげて推進しているプロジェクトということと併せて、以下の様なメリットが得られるため、多くの企業がDX推進に取り組んでいます。

  • 生産性の向上
  • 正確性の向上
  • 新規ビジネスの展開

DX推進により、社内業務がデジタル化されると「作業時間の短縮」や「人件費の削減」などといった生産性の向上や、「ヒューマンエラー」がなくなるため、正確性の向上が図れます。

またデジタル化によって捻出された時間を使って、新規ビジネスの検討や開発などの、「企業としてより重要度の高い業務」へ取り組むことができるようになります。

経済産業省が発表した「2025年の崖」

多くの企業では、導入されてから20年以上経過したレガシーシステムが現在も使用されています。

そのシステムの保守・運用の複雑化や、機能が時代に合わなくなってきていることによる非効率化などが原因となり、「2025年以降の5年間で、最大年間12兆円の経済損失が生じる」と発表されたものが「2025年の崖」です。

また、日本の抱える社会問題として「高齢化と人口の減少」や「経済成長の低下」についても、DXを推進する事によって解決したい問題です。

日本のDX推進の状況は?

日本のDX推進については、他国と比べると遅れていると言われています。

IMDが発表した「世界デジタル競争力ランキング2022」によると、日本は29位と過去最低の結果となりました。

この調査は、「知識」「技術」「未来への対応」の3つの観点から、63ヵ国を対象にランキング形式でデジタルの競争力を評価したものです。

元々、日本より下位に評価されていた中国などは17位と躍進を遂げていることからみても、日本のDX推進については遅れてると言わざると得ません。

DX化を成功させるには組織改革が必要不可欠

DX化を成功させるには組織改革が必要不可欠

では、DX推進を成功させるためには、どういった対応が必要なのでしょうか。

日本のDX推進が依然として進まない理由については以下があげられます。

1.デジタルに対する経営層の見識のなさ

既存事業を抱える企業の多くは、既存の業務をデジタルに置き換えることを「DX推進している」と考えます。

本質としては、既存事業が抱える課題や制約をデジタル技術によって解決し、新たな事業もしくは新たな競争原理を生み出し対応することを「DX推進」と言うのです。

また経営戦略についても、現場が途中で意義を見失わないようにコミットする必要があります。

しかし、DXというキーワードだけが広まってしまった結果、コミットする必要性が失われ、ITの取り組みの一つとして扱われてしまうケースが散見されています。

DX推進に関する投資費用が少なく、初期にかかるコストが許容されないのが現状です。

経営層は、長期的な目線で「何をゴールとし」「どのような方法で」「何を行うのか」について、具体的に経営戦略を考える必要があります。

2.IT人材の不足

いざ経営戦略が決まったとしても、それを体現してくれるIT人材が不足しています。

DX人材はデジタル技術の知見があり、なおかつ自社の業務状況についても熟知している事が望まれます。

そのため、企業内でIT業務に従事している人はもちろんのこと、新たな人材の発掘や外部リソースの活用も含めて準備する必要があります。

3.現場の抵抗

DX推進に関する重要性や必要性は理解しているものの、これまでの仕事のやり方を変えることに抵抗感のある社員は少なからず存在します。

現状の業務に不満がある場合は比較的スムーズに進める事が出来ますが、「現状に不満がない」「とりあえず業務は日々できている」と感じている場合は抵抗感が大きくなり、DXを推進し組織を成長させようと奮起しているメンバーを「敵」として認識されがちです。

ここでDX推進を強行するのは望ましくないので、DX推進の重要性を再認識してもらう場を設けたり、DX推進への懸念事項や疑問点などを解消する場を設けたりなど、「DX推進」をしなかった場合の「デメリット」について認識してもらう必要があります。

ただしDX推進は従来の業務変革よりもスピードが要求されます。

時間をかけて現場に働きかけ、段階的に変えていく進め方では、競合他社に後れを取る結果を招いてしまいますので注意が必要です。

以上の理由から、小手先ではなく組織の在り方を根本から変えるような「組織改革」が不可欠です。

また、組織改革時にはDX専門のチームを設け、推進していく事が好ましいです。

DX推進チームの構成や役割を解説

DX推進チームの構成や役割を解説

DX推進チームの構成や役割ですが、ガートナーが発表した「DX推進に必要な5つの役割」を元に解説します。

  1. ビジネス系プロデューサー (ビジネス・アーキテクト)
  2. テクノロジ系プロデューサー (テクノロジ・アーキテクト)
  3. テクノロジスト (エンジニア)
  4. デザイナー
  5. チェンジ・リーダー

それでは、一つずつ解説していきます。

1.ビジネス系プロデューサー (ビジネス・アーキテクト)

DX推進というプロジェクトをマネジメントし全プロセスを統括する人材です。

ビジネスゴールを定義し、それに伴う企画の立案やチームへの連携、経営層や社内外の意思決定者などのステークホルダーとのコミュニケーションに責任を持ち、プロジェクトの進捗管理やチーム運営、戦略の考察などプロジェクトを成功に導く事が任務になります。

2.テクノロジ系プロデューサー (テクノロジ・アーキテクト)

DX推進というプロジェクトに関わる技術的な側面に対し、責任を持つ人材です。

ビジネス系プロデューサーが設定した、ビジネスゴールに向けて、チームとしての最適なデジタルテクノロジを分析・特定したり、システム適用後の影響予測などを担います。

3.テクノロジスト (エンジニア)

テクノロジ系プロデューサーより提供されたテクノロジを使用し現場で実際に開発する人材です。

自動化やデータサイエンス、AIなどだけではなく、IT基盤となるネットワークやセキュリティ、クラウドなどの領域にまで広げて開発できる人材がチームにいることが好ましいです。

4.デザイナー

ソリューション、サービス、アプリケーションのユーザー・エクスペリエンス (UX) をデザインする人材です。

顧客・ユーザー視点でのアプローチ(ユーザビリティ)を意識し、チームメンバーや関係者が意識できるように導きます。

社内普及に向けた教育なども担当します。

5.チェンジ・リーダー

デジタルテクノロジ導入に伴う働き方の変化などに対応し、関係者を巻き込んだ「意識」と「行動変容」に向けた施策の計画や展開を実施します。

日本では軽視されがちな役割ですが、チェンジ・リーダーの役割次第では、企業内のDX推進チームが努力しても、各部署への意識や行動変容に繋がらず推進が滞ってしまいます。

各部署にチェンジ・リーダーを配置し、濃度の高い展開を行う事で好循環なDX推進が行えます。

DX推進チーム構成の基本プロセスやポイントを紹介

DX推進チーム構成の基本プロセスやポイントを紹介

IDC Japanが行った調査によると、DXを推進する国内企業は、DX専門の部隊を設置してリーダー組織とするケースが最も多くなっています。

その中でも代表的な3つの組織編成やポイントについて紹介します。

IT部門拡張型

IT部門を拡張して専門チームを作るケースです。

もともと比較的IT知識の高いメンバーで構成されるため、デジタルの導入がスムーズに行えるのが強みです。

また、新たなデジタル領域のスキルや知識を取得するためのコストを下げることもできます。

ただしIT部門チームは、顧客との接点が少なく「どんな価値を提供すべきか」については苦手なため、営業やマーケティング部門と連携し推進していくことが必要です。

事業部門主導型

自社の営業やマーケティング部門などの事業部門が主導し、IT部門の後方支援を受けながらDX推進していくケースです。

事業部門は自社のサービスを熟知していることや、社会情勢のアンテナも高いためスピード感のある現場目線のDX推進が可能です。

しかし、IT部門よりはデジタルに関する知識は劣るため、後方支援として構えているIT部門との密な連携が不可欠です。

専門組織型

専門組織型とは、部門の枠にとらわれずDX推進に特化した専門チームを編成して推進していくケースです。

自社内の力のある人材を集めて構成するチームになりますので、力強いDX推進が期待できます。

しかし、新しいチームの場合は連携が弱いという側面があるため、強いリーダーシップをもった人材の編成も必要になります。

加えて、「DX推進するのは、なぜか」についても、チーム内で同じビジョンが共有されていることも大事です。

記事まとめ

記事まとめ

「DX推進」とは何か、また社内におけるDX推進チームの構成や役割について解説しました。

  • 将来を担う日本企業には「DX化」が必要
  • DX化を成功させるには組織改革が必要不可欠
  • DX推進チームの構成や役割を解説

DX推進は既存事業と同じように、ここまでできれば大丈夫というゴールがないため、達成ポイントが見えづらく、進んでない様に感じることがあるかもしれません。

しかし、ビジネス系プロデューサーが策定したプロジェクトプランに沿って対応することで、確実に企業として成長し社会的にも価値のあるものを提供できるようになります。

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