DX推進を成功させるうえで、「AI」に関する理解を深めることは大変重要です。
AIについて正しい認識を持ち、ツールとして有効活用できれば、DX推進の成功につながります。
そこで今回は、DX推進とAIの関係について解説します。そのほか、DX推進に役立つAIの機能や、AIを導入した企業や自治体のDX成功事例も紹介するので参考にしてください。
DX推進とAIの関係
DX推進にはデジタル技術の活用が欠かせません。そのデジタル技術の代表例が「AI」です。
デジタル技術としては、AIのほかにIoTやクラウド、ビッグデータなどが挙げられます。
DXやAIの定義、両者の違いなどについては、下記の内容もぜひ参考にしてください。
DXとは
DXとは、企業がデータやデジタル技術を活用し、商品やサービス、ビジネスモデルを変革することです。
業務効率化や組織体制の最適化などを通じて生産性を向上させ、競争優位性を高めることを目指します。
なお、「DX」という呼び名は「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。
AIとは
AIとは、いわゆる「人工知能」です。情報を処理したり認識したり、人間の思考プロセスと同様の振る舞いをするプログラムのことを指します。
AIは「Artificial Intelligence(アーティフィシャルインテリジェンス)」を略したものです。
ちなみにAIと並んで使われることが多い「機械学習」や「深層学習」といった言葉。これらはAIが内包する概念です。
AI(人工知能)を開発・構築するには、機械学習および深層学習を実行し、プログラムを育てることが必要になります。
DXとAIの違い
DXとAIでは、言葉(概念)のレベルが違います。DX推進のために活用するデジタル技術の一種がAIです。
並列して議論するような言葉同士ではないため、そもそも「DXとAIの違いは?」という問いの立て方自体がナンセンスともいえます。
DXに役立つAIの機能
AIの代表的な機能は下記の5種類です。
DX推進にAIを活用する場合、下記のいずれかを業務や組織づくりに取り入れることになるでしょう。
画像認識
画像認識とは、画像に写っている人やモノを識別する機能です。
画像を単なるピクセルの集合体として捉えるのではなく、人間の脳のように、意味のあるさまざまな要素を含むものとして認識します。
画像認識を実用化したツールの代表格が「顔認証システム」です。
顔認証システムにおいてAIは、正面からの顔だけでなく、斜めからの顔やサングラス越しの顔などからも正しい情報を認識できます。
顔認証の普及により、画像認識はAIができることの中でも最も実用的・進歩的な分野となっています。
音声認識
音声認識(音声理解)は、音声に含まれる情報を認識する機能です。
音声を文字に変換する「文字起こし」や、音声の中から特定の情報を識別する「キーワード認識」が、具体的なタスクになります。
また音声入力や音声操作なども、音声認識を活用することで可能になる技術です。これらの技術を使ったツールとしては、GoogleアシスタントやSiriなども挙げられます。
ちなみに2023年現在、音声認識でAIが理解できるのはいわゆる「情報」、客観的な要素だけです。しかし、近未来には音声認識で感情まで理解できる日が来るといわれています。
文章理解
文章理解は、単語や文章の意味と、それが使われている文脈・背景などを認識する機能です。「翻訳」や「要約」、「データに基づく記事作成」などのタスクに応用できます。
人間が受ける試験にも「文章理解」という科目がありますが、AIの文章理解はすでに人間を超えているという研究結果が出ています。
つまり文章理解のタスクは人間よりもAIに任せたほうが、企業経営に良い結果をもたらすかもしれないということです。
なお、文章理解と音声認識は、どちらも「自然言語処理」という分野で研究されています。
機械制御
機械制御とは、AIが各種のセンサーやモーター、機械、ロボットなどをコントロールすることです。
単に運用を代行するだけでなく、収集したデータの解析に基づき、運用を最適化する機能も持ちます。
機械制御をAIに任せれば、例えば、24時間稼働する工場の管理業務にかかる人的コストを大きく削減することが可能です。そのため、コスト削減や働き方改革といった観点からDX推進につながります。
また上述の運用を最適化する機能により、属人的に機械を制御するよりも、業務の精度が向上する可能性も考えられます。
推論
推論は、既知の前提に基づき、新しい事柄を予想する働きです。AIは膨大なデータを学習することで、未知の事象に対して人智を超えるような判断ができるようになります。
代表的な例は「将棋AI」です。将棋の対局データを大量に学習させれば、AIの推論能力はプロ棋士を超えるものになり得ます。実際、過去の対局で何人ものトップ棋士がAIに敗れています。
また現在はトップ棋士のほとんどが練習にAIを用いており、ある意味将棋界はDXが進んでいるといえるでしょう。
ほかにも病気の予測や実験の代替、天気予報など、AIの推論を活用できる領域はいろいろあります。
人工知能を活用した「MICHIRU RPA」
MICHIRU RPAは、AI技術を活用した業務効率化のためのツールです。日々のわずらわしい業務をたった数分で完了できるようになります。
そもそもRPA(Robotic Process Automation:ロボティックプロセスオートメーション)とは、ロボットで業務を自動化する取り組みです。
MICHIRU RPAには、ロボットを制御する手法としてAIが採用されています。
単にロボットが業務を自動化するだけでなく、AIがデータを学習して成長するため、使えば使うほど業務の効率を最適化できることもポイント。
また自動化のプロセスに画像認識を活用することで、ソフト間連携なしで気軽に使えるようになっています。
MICHIRU RPAで実現できるDX推進の事例
下記の全てをロボット×AIが自動で実行します。
- メールから顧客情報を読み取って保存・管理
- トラブルシューティングの最適解を提示
- 膨大な顧客情報をリスト化・データベース化
- ネット検索で文字や画像データを収集
DX推進にAIを導入した事例
以下では、AIを導入してDX推進を成功させた企業や自治体の事例を紹介します。自社のDX推進を考えるうえでぜひ参考にしてください。
事例1. トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、工場にAIを積極的に導入し、DX推進に取り組んでいます。
例えば、車体を塗装する色の判別をAIが担います。350以上ある色の管理項目をAIが正確に解析し、繊細な色合いのニュアンスにも対応することを目指す取り組みです。
またトヨタが実践するDX推進の要である「工場IoT」にも、AIが導入されています。工場IoTは、3D CADデータをはじめとする業務データを、工場や現場間で一元管理する情報共有基盤です。
この基盤に搭載されたAIは、データ分析に基づいて各問題の最適解やそれを導くための情報をリコメンド。デジタル活用で困らないように社員の判断をサポートします。
参考:経済産業省「製造業DX取組事例集」
事例2. 株式会社ヨシズミプレス
株式会社ヨシズミプレスは、町工場にAIを導入することで、大幅な業務効率化を達成しました。
AIを導入したのは、レーザーダイオード部品の検査業務。従業員6名が10日ほどかけて行なっていた50万個の目視検査に、AIを適用しました。
AIが良品と判定した製品をそのまま出荷するシステムにしたことで、目視検査の工数が95%も減少。これにより月の検査時間が171時間削減されたそうです。
検査担当者は、神経を使っていた長時間の検査業務をAIに任せたことでストレスから解放されたと語ります。
ちなみにこの企業では、プログラミングに理解のある人材は0人、前もって用意していたデータもなしだそうです。このことから、AIはどの企業でも導入可能だということがわかります。
参考:経済産業省「AI導入ガイドブック」
事例3. 奈良県三宅町
奈良県三宅町は、広報にAIを取り入れ、DX推進を実現しました。
具体的には、文字を入力するだけでDXが適切なグラフィックを作成してくれるツールを導入。情報発信のわかりやすさが向上することで、利用者満足度を格段に上げることに成功しました。
実際、三宅町のHP等、広報活動を見ると、親しみやすいイラストが目立ちます。AI活用によるDX推進の成果が明確に出ている証でしょう。
なお、三宅町はほかにもさまざまなDX推進に取り組んでいます。
全体の3割にあたる約1.3トン減のペーパーレス化を実現し、大幅な業務効率化とコスト削減に成功。「DXアドバイザー」という複業(副業)人材を外部から登用し、人材不足にもうまく対応しています。
参考:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局「冬のDigi田甲子園」
事例4. 株式会社ヤスヒラ
株式会社ヤスヒラは、1937年に設立された機械業の会社。AI技術を活用した「MICHIRU RPA」を導入することで、大幅な業務効率化を実現しました。
例えば、かつては何時間もかかっていた納品・請求書の検収業務は、MICHIRU RPAの導入により、わずか1分以内まで短縮。そのほかにも各所の業務の工数を圧縮し、業務効率化と働き方改革を実現しました。
株式会社ヤスヒラの担当者の方は、MICHIRU RPAの魅力として「画像判別ミスが少ないこと、動きが軽快なこと」を挙げています。
これらの特徴は、AI技術を活用したRPAならではの事柄だといえるでしょう。
その他のDX関連用語
以下では、AIと並べて言及されることが多い用語の意味を紹介します。下記は全てDX推進に活用できるデジタル技術です。
IoT
IoTとは、家電や電子機器、車、住宅などの「モノ」をインターネットに接続して活用することです。
「Internet of Things(インターネットオブスィングス)」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。
例えば、IoT家電では、外出先から遠隔操作したり、カメラで自宅内の様子を観察したりすることが可能です。IoTをDX推進に取り入れば、こうした遠隔操作や監視などの機能を企業経営に役立てられます。
クラウド
クラウドとは、インターネットをはじめとするネットワークを介してさまざまなサービスを利用することです。
クラウドのユーザーは、インフラやソフトウェアがなくても、ネット経由でサービスが使えます。
わかりやすい例では、広く普及している「Gmail」もクラウドサービスの一種です。従来、企業がメールを利用するには、メールソフトのインストールやサーバの構築などが必要でした。
しかし、Gmailのようなクラウド型のメールサービスでは、ネット環境とデバイスさえあればいつでもどこでもメールを利用できます。
DX推進のために活用するツールも、クラウドサービスのほうが導入するのは簡単です。
特別なハードウェアやソフトウェアが要らず、なおかつ費用も安い傾向にあります。
ビッグデータ
ビッグデータとは、本来人間の力では活用しきれないような巨大なデータ群のことです。
主にVolume(量)、Variety(種類)、Velocity(速度)という「3つのV」において、ビッグデータは一般のデータを超えています。
デジタル技術の発展により、そうした多種多量のデータを扱えるようになったことから、昨今企業の関係者から注目されています。
DX推進で企業経営を変革するには、これまで活用してこなかったビッグデータに目を向けることが、大きな意味を持つでしょう。
なお、ビッグデータの解析にはAI技術も効果的です。
まとめ DXのために人工知能を有効活用しよう!
AIが持つ人知を超えた認識や推論等の機能は、DX推進に非常に役立つ要素です。
AIを有効活用することで、業務効率化やコスト削減、働き方改革といった各課題・現状への対処が、格段にしやすくなります。
これを機会にぜひ、DX推進の一環としてAIを取り入れることをご検討ください。
AIとロボットで業務効率化を実現する「MICHIRU RPA」の導入もおすすめです。