AIで業務改善はどう変わる?中小企業での活用方法を解説

生成AIの普及によって、企業の業務改善にも新しい選択肢が生まれています。

これまでは、業務を効率化しようと思っても、Excelのマクロを作成するにはVBAの知識が必要だったり、自社に合ったITツールを探すために時間がかかったりすることがありました。

現在は、AIに業務内容を説明することで、改善方法の提案を受けたり、Excelの関数やマクロ、業務に合わせたテンプレートの作成を手伝ってもらったりすることができます。

つまり、AIは業務を自動化するためだけのものではなく、業務改善を考える段階から活用できるようになっています。

一方で、すべての業務をAIで解決する必要はありません。業務によっては、SaaSやRPA、Excelなどを利用した方が適している場合もあります。

この記事では、中小企業がAIを活用して業務改善を進める方法や、具体的な活用例、導入時に押さえておきたいポイントを解説します。

目次

AIの登場で業務改善はどう変わったのか

従来の業務改善では、現在の作業手順を整理したうえで、業務に合ったシステムやツールを探し、必要に応じて設定や開発を行うという流れが一般的でした。

現在も基本的な考え方は変わりませんが、生成AIによって、改善方法を検討する際の選択肢が広がっています。

例えば、毎月行っているExcelの集計作業を効率化したい場合、以前であれば関数やマクロの使い方を調べたり、詳しい担当者に相談したりする必要がありました。

今では、現在の作業手順や実現したいことをAIに説明し、適した関数やマクロを提案してもらうことができます。

また、会計や勤怠管理、顧客管理などの業務であれば、専用のSaaSを利用した方がよいのか、既存のExcelを改善した方がよいのかといった相談も可能です。

AIの提案が必ず正しいとは限りませんが、自分たちだけでは思いつかなかった方法を知るきっかけになります。

さらに、改善案の検討だけでなく、簡単なツールの試作まで支援してもらえることも大きな変化です。

AIは業務改善を考える相談相手にもなる

業務改善を進めたいと思っても、最初から具体的な方法が決まっているとは限りません。

何となく手間がかかっていると感じていても、どこを改善すればよいのか、どのツールを使えばよいのか判断できないことがあります。

そのようなときは、まずAIに現在の業務を説明してみるのも一つの方法です。

現在の作業手順をAIに伝えてみる

AIに相談する際は、単に「業務を効率化したい」と質問するよりも、現在の作業手順や困っていることを具体的に伝える方が、改善案を検討しやすくなります。

例えば、次のような質問です。

「毎月、複数のExcelファイルから売上データを集め、一つの集計表にまとめています。データのコピーと集計に時間がかかっているため、作業を簡単にしたいと考えています。現在の方法に無駄がないか確認し、改善方法を提案してください。」

このように相談すれば、Excelの関数やマクロによる効率化だけでなく、データの管理方法そのものを見直す提案が得られるかもしれません。

ここで重要なのは、現在の作業をそのまま自動化する方法だけを聞かないことです。

そもそも複数のExcelファイルで管理する必要があるのか、元のシステムから必要な情報を取得できないのか、といった点も含めて考える必要があります。

今のやり方を前提にするのではなく、業務の目的から逆算して改善方法を検討することが大切です。

Excel・SaaS・RPAなどの選択肢を比較する

AIには、改善方法だけでなく、どのようなツールが適しているのかを相談することもできます。

例えば、毎月の請求書処理に時間がかかっている場合、次のような選択肢が考えられます。

  • Excelの関数やマクロで集計作業を効率化する
  • 請求書管理や経費精算に特化したSaaSを導入する
  • AI-OCRで請求書の内容を読み取る
  • RPAで既存システムへの入力を自動化する

どの方法が適しているかは、請求書の件数や書式、利用しているシステム、予算などによって異なります。

AIにこれらの条件を伝え、導入費用や運用負担、必要な知識などの観点から比較してもらえば、自社に合った方法を検討しやすくなります。

ただし、AIが回答する製品の機能や料金が最新の情報とは限りません。実際に導入を検討する際は、各サービスの公式サイトなどで確認しましょう。

AIに相談するときは業務のゴールも伝える

改善方法を検討するうえで、現在の作業手順と同じくらい重要なのが、その業務の目的です。

例えば、毎月の売上集計について相談するなら、単に集計時間を短くしたいのか、担当者ごとの売上を確認したいのか、経営判断に必要な情報を整理したいのかによって、適した方法は変わります。

現在の作業内容だけでなく、最終的に何を実現したいのかまで伝えると、目的に合った改善案を考えやすくなります。

また、一度の質問で完璧な回答を求める必要はありません。

AIから提案された方法について、「費用をかけずに実現できる方法はありますか」「Excelだけで対応できますか」といった追加の質問を重ねることもできます。

生成AIを使って身近な業務改善を試す

AIの活用は、改善案の相談だけではありません。

簡単な関数やマクロ、テンプレートなどを作成し、実際に試すところまで支援してもらうことができます。

Excelの関数やマクロを作成する

Excelを使った業務は、AIによる改善を試しやすい分野の一つです。

例えば、複数の条件に合うデータを集計する関数や、CSVファイルを取り込んで必要な項目を整理するマクロなどを作成してもらうことができます。

VBAについて詳しく知らなくても、実現したい処理を説明すれば、コードの作成や修正を手伝ってもらえます。

ただし、AIが生成したコードをそのまま使用するのは避けましょう。

特に、ファイルの削除や上書き、金額の集計などを伴う処理では、誤った動作が業務に影響する可能性があります。

まずはテスト用のデータで動作を確認し、必要に応じて修正を行うことが重要です。

また、マクロを作成した担当者だけが内容を理解している状態にならないよう、処理内容や利用手順を記録しておくことも大切です。

業務に合わせたテンプレートを作成する

AIには、業務で使用するExcelや文書のテンプレート作成も依頼できます。

例えば、売上管理表、在庫管理表、案件の進捗管理表、日報や議事録のフォーマットなどです。

管理したい項目や集計方法を説明することで、必要な構成や数式を提案してもらえます。利用するAIサービスの機能によっては、実際のファイルを生成できる場合もあります。

自分で一から作るよりも、短時間で試作品を用意できる可能性があります。

さらに、実際に使ってみて不足している項目があれば、修正を依頼することもできます。

最初から完成度の高いものを目指すよりも、まず試作品を作り、実際の業務に合わせて調整していく方法が現実的です。

業務マニュアルや手順書を整理する

日常業務の中には、担当者によって作業手順が異なっていたり、マニュアルが十分に整備されていなかったりするものもあります。

こうした業務でも、AIを活用できます。

例えば、担当者が現在の作業手順を文章で整理し、その内容をもとにマニュアルの下書きを作成してもらう方法です。

作業の順番や注意点をまとめたり、わかりにくい説明を整理したりする際にも役立ちます。

ただし、AIが実際の業務を正確に理解しているとは限りません。完成したマニュアルは、現場の担当者が内容を確認する必要があります。

マニュアルを作成して終わりではなく、実際に使う人が理解できる内容になっているかを確認しましょう。

AIを実際の業務に組み込むと何ができる?

ここまでは、業務改善の検討や試作にAIを利用する方法を紹介しました。

一方で、AIを日常業務に組み込み、継続的に活用する方法もあります。

書類の読み取りとデータ化

請求書や注文書、FAXなどの内容をシステムに入力している場合、AI-OCRを活用する方法があります。

AI-OCRを利用すると、書類に記載された文字や数字を読み取り、データとして出力できます。

例えば、請求書から取引先名や金額、日付などを抽出し、ExcelやCSV形式で整理するといった使い方が考えられます。

ただし、書類の状態やレイアウトによっては読み取り間違いが発生するため、重要な項目は確認する工程を設ける必要があります。

社内情報の検索や問い合わせ対応

社内マニュアルや規程、手順書などの情報をAIで検索できるようにする方法もあります。

例えば、経費精算のルールや各種申請の手続きについて、担当者が資料を探さなくても、自然な文章で質問できる仕組みです。

社員自身で必要な情報を確認できるようになれば、総務や情報システム担当者などへの問い合わせを減らせる可能性があります。

ただし、AIの回答だけで判断するのではなく、必要に応じて元の資料を確認できるようにしておくことが重要です。

文章作成や情報整理

報告書やメールの下書き、議事録の要約、問い合わせ内容の分類などもAIが得意とする分野です。

例えば、打ち合わせのメモを整理して議事録の下書きを作成したり、複数の資料の内容を要約したりすることができます。

ただし、重要な判断や対外的に送信する文章については、担当者による確認が必要です。

AIに作業の一部を任せることで、担当者が内容の確認や判断に時間を使いやすくなります。

RPAと組み合わせた業務自動化

AIとRPAを組み合わせることで、より広い範囲の業務を自動化できる場合があります。

例えば、AI-OCRで注文書の内容を読み取り、そのデータをRPAで既存の業務システムへ入力するといった方法です。

AIが書類の内容を読み取り、RPAが決められた手順に沿ってシステムを操作することで、それぞれの特徴を生かした処理ができます。

ただし、RPAを利用する場合は、対象システムの操作方法に合わせたシナリオの作成や動作確認が必要です。

また、RPAには一定の学習期間が必要で、システムの画面変更などが発生した場合には、シナリオの修正が必要になることもあります。

業務の内容や運用体制を考えたうえで、自動化する範囲を決めることが大切です。

AIですべての業務を解決しようとしない

AIは業務改善の幅を広げてくれる技術ですが、すべての業務に適しているわけではありません。

例えば、会計処理や勤怠管理など、すでに業務に特化したSaaSが提供されている分野では、専用サービスを利用した方が効率的な場合があります。

また、決まった計算や集計はExcelで十分に対応できることもありますし、毎回同じ画面操作を行う業務であればRPAが適していることもあります。

一方で、文章や書類の内容を扱う作業、情報の整理や検索などでは、AIの特徴を生かせる場合があります。

重要なのは、AIを使うこと自体を目的にしないことです。

まずは現在の業務を見直し、その業務の目的を達成するために、どの方法が適しているのかを考えましょう。

また、AIが提案した内容を実際の業務に取り入れる際には、セキュリティにも注意が必要です。

顧客情報や個人情報、社外秘の資料などを扱う場合は、利用するAIサービスのデータ管理方針や社内ルールを確認し、適切な環境で利用する必要があります。

AIを活用した業務改善は小さく始める

中小企業がAIを活用する際は、最初から大規模なシステム導入や高度な自動化を目指す必要はありません。

まずは、日常業務の中で困っていることを一つ選び、AIに相談してみることから始められます。

例えば、毎月のExcel集計作業について改善方法を相談し、提案された関数やマクロをテストしてみるといった取り組みです。

小さな改善でも、作業時間の短縮やミスの削減につながれば、次の業務に取り組むきっかけになります。

また、業務改善では、実際に作業を行っている担当者の協力が欠かせません。

現場の担当者が改善に参加することで、作業の細かな手順や例外処理なども把握しやすくなります。

必要に応じて関係部署を含めた小さなチームをつくり、改善方法を検討することも有効です。

そして、ツールを導入したり、AIで作成したものを利用したりする場合には、導入後の運用も考える必要があります。

実際に利用されなければ、期待した効果は得られません。

使いながら課題を確認し、必要に応じて修正することが大切です。

AIやRPAを活用した業務改善ならMICHIRU

株式会社MICHIRUでは、企業の業務効率化を支援する「MICHIRU AI」と「MICHIRU RPA」を提供しています。

MICHIRU AIは、書類のOCR処理、社内ナレッジの検索、翻訳など、AIを活用した業務効率化に対応しています。

一方、MICHIRU RPAは、ExcelやWebシステムなど、パソコン上で繰り返し行う定型業務の自動化に活用できます。

また、AIで読み取ったデータをRPAで業務システムへ入力するなど、それぞれの特徴を生かした連携も可能です。

業務改善では、AIやRPAの導入ありきで考えるのではなく、現在の業務を整理し、目的に合った方法を選ぶことが重要です。

AIやRPAを活用した業務改善を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。

まとめ

生成AIの普及によって、業務改善の進め方にも新しい選択肢が生まれています。

AIは文章作成や情報整理だけでなく、現在の業務を見直すための相談相手としても活用できます。

また、Excelの関数やマクロ、業務に合わせたテンプレートなどを作成してもらうことで、これまで専門知識が必要だった改善方法も試しやすくなりました。

一方で、AIがすべての業務に適しているわけではありません。ExcelやSaaS、RPAなど、それぞれの特徴を理解し、業務に合った方法を選ぶことが大切です。

AIを導入することそのものを目的にするのではなく、現在の業務の目的や作業手順を見直し、必要な部分に活用していきましょう。

まずは身近な業務についてAIに相談し、小さな改善から試してみてはいかがでしょうか。

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